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  2. スウィッチ書評 第2回:カレー沢薫さん
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Review

 
◆「以上に大事なことなどティーンの女子にはないらしい」


 
 「スウィッチ」のあらすじを簡単に説明すると、幼少期母親に殺されかけ、その後も周りになじめず孤独な生活を送るヒロインの前にイケメンが現れ「君は異種族の姫なんだ」と告げる物語である。
 これだけ聞くと、中年女の寝る前の妄想かよ、と思うかもしれない。
 本当にそうなら、開始三行でこのイケメンに「愛している」と言われるところだが、もちろん本作はそんなに単純ではない。
 
 まず異種族の姫とわかった所でヒロインの不遇は変わらない、実の母親は冷淡だし、王位を継ぐという重責をかしてくるわりには、重要なことは何も説明してくれない。これでは突然エヴァに乗れと言われたシンジ君状態だ。
 しかし安心して欲しい、ヒロインには前述のイケメンがいる、エヴァだって、延々ゲンドウに小突きまわされているだけでは、シンジ君も逃げちゃダメだと思うことなく逃げている、やはり魅力的な異性の存在は大きい。
 
 この物語でも2人の恋が重要な要素となっている。
 むしろこのヒロインが異種族の姫などという話を信じついて行ってしまうのも、このイケメンに恋心を抱いていたから、というのが非常に大きい。またこれだけではなくすべてにおいて「マジ無理、意味わかんない、でもこいつカッコいいしな」で、受け入れがたきを受け入れる場面がとても多いのである。
 
 しかしこの本、半分まで読んだところで、(あと半分で本当に終わるんだろうか……?)と不安になったが、実は3部作であることにその後気付いてしまった。
 というわけで、第1部では、世界観含めまだ謎だらけなのだが、このティーン丸出しのヒロインがどう変わっていくかも見どころの一つであろう。
 
 

著者名:カレー沢薫
漫画家たまにコラムニスト
「やわらかい。課長起田総司」(Dモーニング)「ニコニコはんしょくアクマ」(月刊スピリッツ)
「国家の猫ムラヤマ」(ヤングチャンピオン)「ねこもくわない。」(漫画ゴラクスペシャル)などひっそり連載中
 
 
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品Link


  • スウィッチ

    著:アマンダ・ホッキング (著)
      裕木俊一 (翻訳)

    定価 500円(税抜)

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