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ジョージ秋山・日野日出志・山田花子 電子コミックにて続々登場! サブカル漫画特集

Introduction

 
 何故、今、山田花子か。
 
 雨宮まみ『女子をこじらせて』(幻冬舎)に端を発した、“こじらせ”ブームは、様々なメディアに飛び火、『久保みねヒャダ こじらせナイト』(フジテレビ)という深夜テレビ番組がつくられ、「こじらせ女子」は、「2014年ユーキャン新語・流行語大賞」の候補にも選出されることとなった。
いわゆる赤文字系雑誌に代表されるメディアが良しとする「カワイくてモテる理想の女性像」に、どうしても自らを寄せていくことができない。何の気無しに、女子会開こう、なんていう言葉を使えない。果たして、自分は世間が一般に思い浮かべる“女子”のカテゴリーに、入れて貰っていいのか?!と。
それは、自分がこんな真似したら嗤われるのではないか。似合わないのではないか、という卑屈心もあるけれど、実は、一般に理想とする「カワイイ女の子」を内心小馬鹿にしていて、自分はあいつらとは違うって、自意識過剰な選民意識でもあり。
 
 実際のところの顔面偏差値はともかく、赤文字系「モテ」と恋愛市場から完全に追いやられた「ブス」とモテを無邪気に目指すテレビのヒットチャートと恋バナがお友達のミーハー予備軍と。これらのいずれにもコミットできず肩身の狭い思いをしていた層を見出した、というところに「こじらせ」という言葉の功績はある。
 
 しかし、そんな、今までクラスの片隅・窓際に追いやられがちで、声をあげることが出来ず、こんな風に考えているのは自分だけなのではないかという孤独と、裏返しとしての選民意識の狭間に喘いでいた少なくない人びとを、「これは自分のことではないか!?」という共感で団結させたこじらせブームを遡ること、
約20年以上前。
 現代を生きる、“こじらせ女子”たちが、「これは自分だ!」と思わず叫び出したくなるような漫画家がいたことをご存知だろうか。
 
 それが、山田花子である。
 没個性の極みのようなペンネームだが、その作品は決して一筋縄とはいかない。
 
 他の人のように、周囲の人と上手く接する事が出来ず、会話はいまいちかみ合わず、他人からはなぜか無条件にエラそうにされてしまう……どういうわけか、あなたの為を思って! なんて頼んでもいない説教をされ、オドオドした態度は嘲笑の的になり……
 
「これは自分のことではないか?」というのは、一つには、山田花子の作品によく出て来るそんな主人公たちの姿に対して、というのもあり(認めたくないが)、こちらの紹介文を書いている私自身、高校時代教室に一人も友達がいなかった時代を思い出してしまうのだが、
 
 おそらく、少なくない“こじらせ”た人びとの共感を呼ぶのは、むしろ、そうした冴えない主人公たち―――作者自体の投影――を、冷徹に見つめる、作者の視線、の方であり、作品に垣間見えるそうした「作者の影」こそが、「これは自分だ」の対象―――つまり、世の中や、他人の言動を、こんな風に捉えているのは、そして、そう捉えてしまうことで勝手に生きづらくなっているのは、自分だけではなかったのか!
 という感動が、彼女の作品にはあるわけである。
 
 はじめて山田花子の作品、『神の悪フザケ』を手に取ったとき、
 一番最初のページ、一番最初のコマにガツンと来た
 
 眼鏡で冴えず暗いオーラを纏った女の子が、周りがわきあいあいと喋っている中、一人教室の机にうつむいて座っている絵
 
「どうしようもない奴に限って心はロマンチックだったりする」
 
 そして、欄外にメモのように付け加えられた、手書きの、↑目立たない生徒は(なぜか)前列に座っている
 
 この一コマだけで、山田花子がどのように世界と、自己を捉えていたかがわかる名作、
 そう、我々(?)のようにこじらせている人々は、決して、他人に馬鹿にされたり邪険にされるから生きるのが辛いわけではない。何をするにも、「どうしようもない奴は」「目立たない生徒は」という、「他人に見えている自分」という、相対化された“鏡”を過剰に持っていて、その“鏡”を始終気にしてしまう性分だから、生きづらいのである。
 
 彼女の、あまりに惨めで残酷で、鋭すぎた観察眼は、20年以上経った現在でも、全く古びていない。
 どころか、むしろ、生まれてくるのが早すぎたのではないかと思うのだ。
 かつてであれば、サブカル・マイナー・異端だった者や物が、少なくない人々の共感を呼び団結させ、メジャーシーンにのることもある2015年現在でこそ。「意識高い系」「サブカル気取り」等の言葉が流行し、誰もが凡庸ではない自己を追い求めるけれど誰もが凡庸ではありたくないから、他人の凡庸ではない自己像の追求は嘲笑う自意識合戦、差異化の闘争サイクルがスピードアップし、誰しもが、他人と自分の自意識のあり方に敏感になった現在でこそ。
 世間や他者と上手く付き合えないという生きづらさと過剰な自意識との葛藤を抱えながらも、他人のみならず自らも戯画化することで、冷徹に人間と自己を見つめ描き切った山田花子の共感者は、実は少なくなかったことが、可視化されるに違いない。
 自分がぼんやりと思っていたり考えていたことを、これだ!という形で言語化して突き付けてくれる人や作家・マンガ家の存在は、貴重だ。
 
 幸いなことに、この度、当社より、山田花子氏コミックの電子化をはじめ、彼女が愛読していたという、今なお現役の漫画界の大重鎮、ジョージ秋山氏、怪奇と抒情という独特の世界観で一部に狂信的なファンを持つ恐怖漫画家、日野日出志氏の作品を電子という新たな形で再度、世に送り出せることとなった。
 
 地元の書店では、容易に手に入りにくいかもしれないけれど、未来に受け継がれるべき名作、という作品、あるいは、決してヒットチャートには載らないかもしれないが、どこかにそれを切望している人がいるマイナー作が、“埋もれない”ところに、電子書籍という形態の利点がある。
 その人が生きていた時代や活躍していた時代にはまだ自分は生まれていなかった、というような理由でリアルタイムでは会えなかった人に、作品を通じて、出逢うことができる。知ることができる。
 
 今回は、そんな、電子書籍という形態を活かし、電子という新たなかたちで再復刻したい作品を世に送り出している当社が、ジョージ秋山・日野日出志・山田花子、伝説の漫画家3氏の珠玉のお勧めコミックを紹介する。
 
 

Recommend- 近所の本屋には売っていない名作漫画 -

 


ジョージ秋山――有害図書から人情物まで! 今なお現役の漫画界重鎮

  • 銭ゲバ(1)

    作:ジョージ秋山

    定価 400円(税抜)

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    • ニコニコ静画で購入
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人間の醜い部分を克明に描いた、ジョージ秋山の代表作!!
貧しさ故に病気の母を亡くした風太郎は、「金こそすべて」と、金のために生きることを決意。
大会社の社長のイスを手に入れた風太郎だったが、そのために何人も殺し、恨みを買い、刑事につきまとわれる日々。
金があっても風太郎に平穏が訪れることはない。
松山ケンイチ主演でドラマ化もされ、世間にセンセーショナルを引き起こした大問題作!
 

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日野日出志――――怪奇と叙情、唯一無二の恐怖コミック!

  • 魔鬼子

    作:日野日出志

    定価 400円(税抜)

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いつか魔界一の美女に…魔鬼子…醜いのはその姿だけなのか…。日本オカルト界の重鎮・日野日出志が放つ正統派ホラーの決定版!魔鬼子の孤独な叫びが恐怖の波紋をよびおこす…
 


日野日出志の名作本が初の電子書籍化!

毎日ひとりで仕事部屋にこもり、猟奇的な絵を描き続ける劇画家の夫。
妻の圭子はそんな夫を愛していたが、ひとつだけ絶対に言えない秘密があった……。

表題作「私の悪魔がやって来る」ほか、「白魔の伝説」「埴輪森暗黒日輪伝説」「竹藪地獄怨絵草紙」「ミス・ジッパー」「女郎蜘蛛」「砂地獄」「水色の部屋」「花の女」の全9話を収録。
 


日野日出志の名作本が初の電子書籍化!

人間の死体で“オブジェ”を作る男のもとに、ひとりの醜い子供がやって来た。
子供を追い返そうと声を荒げた瞬間、男の身体は真っ二つに裂けて……。

表題作「鬼ジャリ」ほか、「怪奇くん」「妖怪うんげろ」「怪人どくろ博士」「おどろ牌」「魔ジャリ」の全6話を収録。
 


ある日突然街に現れた“生きている死体”――。
身体はぶよぶよに腐乱し、目から蛆が湧き、心臓も動いていないのに、なぜか彼は生きている!?

警察に保護された後、大学病院の隔離棟に送られた男は、
人体実験を繰り返される毎日に嫌気が差し、とうとう脱走を試みて……。

彼は一体何者なのか。そしてどこへ向かうのか。
切なく、悲しい死肉の男。
死から始まる彼の運命。その先に待つものは・・・。
 


日野日出志の名作本が初の電子書籍化!

雪山で遭難した茂作と箕吉の親子は、たどり着いた山小屋で一夜を明かすことに。
二人が眠りについてしばらく経った頃、あまりの寒さに箕吉が目を覚ますと、そこには父に覆い被さる雪女の姿が……。
この怪しげな一夜から全ては始まった。

「雪女」ほか、「ろくろ首」「片目のゆうれい滝」「食人鬼」「雪太郎」の全5話を収録。
 


日野日出志の名作本が初の電子書籍化!

妖女ダーラの“もう一つの顔”を見てしまった者は、世にも恐ろしい怪奇の世界へ引きずり込まれる……。
日常から非日常へ、その入口はすぐ側に存在している。

表題作「妖女ダーラ」全3話のほか、「血ぬられた小包」「首」「Oh!ナイスバーディ」「肉の怪物」を収録。
 


謎の老婆に教えられた「最悪の儀式」によって、地獄から甦った中学生の円間大雄。
しかし復活した少年は、殺戮を繰り返す化け物だった。静寂に身を潜め、暗闇のなか人間どもの背後に忍び寄る。腹を喰い破って内蔵を貪り、四肢を引き裂き鮮血をすする。呪われた少年が次に現れるのは、あなたの…。

怪奇と叙情的な世界を独特のタッチで表現する、ホラー漫画家の重鎮日野日出志が描く「地獄小僧」。
 


日野日出志が、自らの魂を注ぎ込んだ出世作「蔵六の奇病」。
当時、昼のアルバイトで食いつないでいた作者が、何とか、漫画だけで食べていけるようになりたいと、大手でも勝負出来る作品をつくりたいと、わずか39枚の作品を何回も何回も描きなおし、完成までに1年かかった作品。
体中が吹き出物だらけになる不思議な奇病にかかり、住んでいる村から追い出されてしまった主人公の蔵六。森の外れに隔離された蔵六は、自らの体から吹き出る7色の膿を使って絵を描き始める。
 
「蔵六は、私だ―――」
 
主人公の蔵六は、奇病に苦しみ、村の者に排除されながらも、それでも、絵を描き続ける。
自らの全身の腫瘍から出る、七色の膿をナイフを切りだして。
血や膿、自分の身体の一部で「描き続ける」というほど、絵にとりつかれた蔵六――つまり、漫画で生きていくのだ、という当時の作者の決意と狂気の投影が、この作品には込められているのだ。
 
全身に膿ができてウジが沸く描写などといった怪奇描写の中にも、哀愁が織り交ぜられている趣深い作品。
 


 

山田花子――――1992年、24歳で自らの命を絶った伝説の漫画家

元祖“こじらせ系”の魂は、時代を越えて受け継がれていく……
“今、コイツのタバコを奪って目ン玉に押しつけたらどうなるだろう……
対人関係に疎外と鬱屈を抱えながらも爆発できず遂には自家中毒を起こしてしまった作家の観察眼は、現在も古びていない。何気ない日常生活に潜む些細な心の動きを鋭く炙り出し、人間の見たくない部分を突き付ける傑作オムニバス集。
 


その繊細過ぎる観察眼は、他者からの言動をこじらせ、自己をこじらせ、人間関係をこじらせていく…
 
“やっとのことでしんどい小学校から解放されたと思ったら、また新しい刑務所に入れられるのか”
 
山田花子はよく、立場の弱く他の人に上手く馴染めない人を主人公に据えた、「いじめ」の物語を描くが、根底のところは、「他者の視線」と「人間のヒエラルキー」が執拗にテーマとなっている。
ヒエラルキー上位の者は、下位の者へ、無意識に、横柄な態度や、“あなたのことを思った”説教をしたがり、下位の者は、たとえムッとしてもそれに耐えてしまう。
下位の者は更に下位の者に、“自分の仲間”だと思われないように――取り入られないように気をつけなければならない新学期。
しかし、彼女の自意識は、「周りにどう思われるか」を更に進んで、「周りにこう思われている自分を自分がどう思うか」というところまで拗らせているから、弱い者をはねつけることもできない。
結果、上位の者には“自然に”居丈高にされ、下位の者には“うっかり”寄生されてしまう……。
 
「スクールカースト」なんていう言葉が流行る20年も前から、教室・恋愛・会社、至るところに潜むカースト構造を、山田花子は見抜いていたのだった。
 
生きることに絶望しそうになったあなたに寄り添う最後の友として。
『からっぽの世界』では、<人の道シリーズ><花子の女子高生日記>など、学生生活の鬱屈、男女関係に含まれる権力構造を描いた珠玉の傑作短編を収録。
 
 

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